2022年4月に開設した当研究室では、成熟した脳内で生まれる新しい神経細胞の挙動を理解・制御して、傷害後の神経回路の再生に応用することを目指した研究を行っています。
研究概要
発達期を終えた脳では、脳の神経回路の主体である神経細胞(ニューロン)を新しく産生することができません。しかし、側脳室の周囲にある「脳室下帯 ventricular-subventricular zone (V-SVZ)」には、ニューロンを生み出すことができる神経幹細胞が存在しています。
脳室下帯で生まれた未熟な新生ニューロンは、脳内を長距離にわたって移動することができます。脳の前方にある嗅覚に関連する領域で成熟して、嗅覚機能に関わる役割を担います。一方、脳損傷に反応して傷害部に移動し、神経機能の回復にも貢献します。この反応は、再生能力が低いとされている脳に潜在している自己修復システムとみなすことができます。我々は、成熟した脳内で生まれる新生ニューロンの挙動や機能を解析して、その能力の可能性と限界を詳しく知ること、更に新生ニューロンの挙動をさまざまな方法で操作して、傷害脳の再生に応用することを目指して研究を行っています。
プロフィール
1994-2000年 山梨大学医学部医学科
2000-2003年 山梨大学医学部精神神経医学講座 研修医・医員
2003-2007年 山梨大学大学院医学工学総合教育部(博士課程)
2004-2007年 慶應義塾大学医学部生理学教室 共同研究員
2007-2022年 名古屋市立大学大学院医学研究科神経発達・再生医学分野
( (ポスドクー助教ー講師ー准教授)
2022年 同志社大学大学院脳科学研究科神経再生機構部門・教授